2022-11-19 22:30:00

『ワールドカップと“美味いっ”』

 明日から、いよいよサッカーの『ワールドカップ2022』が開幕する。

 

 母国を背負い、母国の威信をかけて頂点を目指すW杯には、やはり、格別の興奮を覚える。そしてそこには、ありきたりの言葉ではあるけれど…大きな『感動』が伴っている。

 

 サッカーに限らず、スポーツによる『感動』は、時に、我々へと大きな力を与えてくれる。

 

 ただ…

 

 その足で白いボールを蹴ることはなくとも、その手で、長きに渡り包丁を握り続ける料理人の息子としては…僕としては…

 

 料理に導びかれた『美味いっ』が与えてくれる力も、決してスポーツのそれに劣ってはいないと…密やかに、でも強く、信じている。

 

 いずれにしても、明日からのワールドカップを“感動”と共に、楽しく観戦したい。

 

 もちろん、“美味いっ”料理とお酒を傍らに。

 

 

 

2022-11-18 22:30:00

『ラ・フランスのように』

 先日、山形に住む知人から、ラ・フランスを頂いた。“食べごろ”まで一週間ほど待って、昨日、食後に味わった。

 

 さすが『果物の女王』…甘く、瑞々しく、香り高く…格別な美味しさだった。

 

 一方で…昨日より、インスタグラムをスタートした。何故今更?…と揶揄されたら、「“始めごろ”まで待ってたのさ」なんて強がりたいけれど…右も左も分からずに…

 

 どうやら、こちらの甘さやら…諸々を味わうには…

 

 もう少し、時間を要しそうだ。

 

 

 

2022-10-26 22:46:00

Vol.22『セレナーデ』

1666791701527.png

少しだけ欠けた月が

10月の小さな夜に煌めいた

 

輝けなくても構わない

照らしてくれる

 

オーケストラの小夜曲が

タクシーの車内に響いた

 

立ち止まったっていい

連れ立ってくれる

 

信じ合う

委ね合う

そしていつか、分かち合う

 

月が並走していた

 

目を閉じた

タクシーがスピードを上げた

 

 

 

2022-10-05 22:22:00

Vol.21『ラストノート』

1664975887284.png

 

地下鉄の階段を登っていると

突然、ムスクの香りが漂い

すぐに消えた

 

振り返っても

優しい曲線を描くなで肩と

壊れそうな小さな背中は

どこにもなかった

 

あの日

その香りのない道を選んだ

僕が

ラストノートを香ることはない

 

構わず階段を登り切った

街は仄かに

秋の匂いを纏っていた

 

 

 

2022-09-28 21:53:00

Vol.20『ダリアの嘘』

1664369123778.png

 

空は

吐き捨てられた種無し葡萄の皮みたいな色をしていた

 

夕刻までいた喫茶店で

TVが昨日の映像を流した

喪服姿の人で溢れていた

 

レジの傍らに

造花のダリアが咲いていた…

 

店を出て

ロジェ・ヴァディムの言葉を思い出した

 

「貧弱な真実より華麗な虚偽を愛する」

 

もう一度、空を見た