ラガーマンだった
とは言っても
小学生の頃
スクールに通っていただけだ…
7月9日の夜
録画したラグビーの試合を見た
ただ
前日の記憶が
ずっと目の前を覆っていた
いずれその記憶にも
ノーサイドの笛が吹かれる…
震える右手で
ウィスキーを飲んだ
バッファロー?
それがどうした
カーラジオがサザンを歌った…
先々週
伯父の法要があった
暑い1日で
こっちの水は甘いぞと
お斎でビールを飲んだ…
「親父と同じ誕生日だったよな?」
ハンドルを握る伯父の長男が言った
僕が頷くと
「夏男か」
そう笑い、ネクタイを緩めた
涙見せぬように〜
サザンの歌が木霊した
街は必要以上に煌めいていた
友人は結婚記念日で
先に帰った
別れ際
二人きりかと冷やかすと
首を振った
「大抵、短いだろ?子供も一緒に過ごせる時間のがさ」
そう笑顔を煌めかせた
…地下鉄の階段を降りる前
街にレンズを向けてみた
なるほど…
これ位の煌めきは
必要かもしれない
待ち合わせの喫茶店で
窓から覗く街は
濡れていた
子供の頃
雨は誰の涙なのか知りたかった
答えのないまま大人になった
店の傍らに花が咲いていた
何より雨を知る花…
答えを知っている気がした
雨はいずれ止む
この空の先で流れる涙は
まだ止まらない
花は…どこまでも青かった
「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
偶然に出会った
村上春樹のデビュー作の書き出し…
15歳だった
そして今…
140文字の
完璧ではない文章の中を生きている
まだ
楽しみたい
終わらせない
完璧ではない絶望を
いつか…
希望と呼べるまで