2022-04-27 22:08:00

Vol.4『千社額』

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千社額…

 

四十数年

店を見守り続けてくれている

 

彫られた欅の中には…

 

今では

閉じた店の名も

亡くなられた方の名もある…

 

いつだろう

偶然に見掛けた

 

閉店後に一人

千社額を見つめる

大将の姿を…

 

その瞳に思った

 

何かをやり続けることとは

何かを背負い続けることと

同義である

 

2022-04-20 20:56:00

Vol.3『HERO…』

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厚手のトレンチを着ていた

それでも肌寒い

 

不確かで、曖昧な季節だ

 

待ち合わせの店ヘと向かい

細い通りを歩いていると

 

屋根の上に、HEROがいた

 

アメージング!

 

ただ…

知っている

わかっている

 

今、

彼等が望むのは

世界が望むのは

 

一人のヒーローではない

 

少し、雨が落ちてきた

 

2022-04-13 20:50:00

Vol.2『お喋りな背中』

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昨夜は

煮穴子と空豆を肴に

戴き物の酒を大将と

いや…

父と花冷えで頂いた

 

磨きは低いけれど

米を感じ、でも雑味がなく…

悪くない

 

どれぐらい飲んだだろう?

大酒家が

頬杖をついて眠っていた

 

上着をかけようとした…

 

やれやれ

相も変わらず、この背中は…

 

お喋りが過ぎて困る

 

2022-04-06 20:39:00

Vol.1『二人の春』

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先週

営業再開後の初定休日

 

大将と女将が写真を撮ってきた

 

どこにでもある桜だった

 

それでも

 

二人はその桜に

やっと

春を見つけたのかもしれない

 

今までで

一番遠く

一番特別な春を

 

それは

あまりに短い

淡く

儚い

 

ただ

忘れないだろう

 

思わずシャッターを切った

 

桜色のそれを

二人のそれを