2022-10-05 22:22:00

Vol.21『ラストノート』

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地下鉄の階段を登っていると

突然、ムスクの香りが漂い

すぐに消えた

 

振り返っても

優しい曲線を描くなで肩と

壊れそうな小さな背中は

どこにもなかった

 

あの日

その香りのない道を選んだ

僕が

ラストノートを香ることはない

 

構わず階段を登り切った

街は仄かに

秋の匂いを纏っていた