街は必要以上に煌めいていた
友人は結婚記念日で
先に帰った
別れ際
二人きりかと冷やかすと
首を振った
「大抵、短いだろ?子供も一緒に過ごせる時間のがさ」
そう笑顔を煌めかせた
…地下鉄の階段を降りる前
街にレンズを向けてみた
なるほど…
これ位の煌めきは
必要かもしれない
待ち合わせの喫茶店で
窓から覗く街は
濡れていた
子供の頃
雨は誰の涙なのか知りたかった
答えのないまま大人になった
店の傍らに花が咲いていた
何より雨を知る花…
答えを知っている気がした
雨はいずれ止む
ただ
この空の先で流れる涙は
まだ止まらない
花は…どこまでも青かった
「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
偶然に出会った
村上春樹のデビュー作の書き出し…
15歳だった
そして今…
140文字の
完璧ではない文章の中を生きている
まだ
楽しみたい
終わらせない
完璧ではない絶望を
いつか…
希望と呼べるまで
休日、部屋で映画を観た
何故か
大学時代に働いていた映画館と
仲間を思い出した
劇場は閉館し
フェリーニ好きの彼や
監督志望の彼
そして
映画を観る時
必ず隣りにいた彼女も
もういない
クランクアップだ
映画を…もう一本観たくなった
仕方ない
ハッピーエンドのそれを探そう
胸のワクワクを意味する
『ちむどんどん』という朝ドラ…
休日に
まとめて観ている時だった
大学時代の友人達との
グループLINEが届いた
それぞれが戦っていた
この新しい日常と
「そろそろ、集まろう」
同じ言葉が飛び交う
ウィスキーをちびりとやった
了解
ちむどんどんしてきた